eurekaのすすめ

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愛ってなに?あの映画監督に学んだこと ~1,200ドルのハンカチーフ~

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~とある青年の物語~

高校時代、ジェームズ(愛称ジム)はクラスメートのシャロンに恋をしました。髪が長くて瞳の大きい、清純そのものの少女です。交際を始め、大学に進学すると二人はすぐに同棲をはじめました。

同棲の頃、ジムはよくシャロンをモデルにしてデッサンを良くしていました。

「ヌードになることも多かった」とシャロンは言います。

決して裕福ではないけれど、幸せな生活でした。

 

 

大学を2年目で中退したジムは、整備工になりますが、長くは続かず、夢を追うため退職します。

「やっぱり、映画監督を目指す」

シャロンは「ビッグボーイ」というハンバーガーダイナーでアルバイトをし、夜も勤めに出て彼を支えました。「あなたは夢に懸けて。私が稼ぐから」

その夢が二人を引き離すなんて、知る由もありません。

 

 

ジムは映画会社に勤め、泊まり込んで脚本を書いたり仕事をすることが多くなっていました。

そこで、ジムは同僚の女性、ゲイルに出会うのです。

彼女とは夢を語り合い、何度も相談をし合う仲でした。そのうちに親密になっていきました。

 

 

ジムの書いた脚本は評判になり、他の映画監督から買取希望が相次ぎます。

貧しかった彼はそのお金を喉から手が出るほど欲しかったはずですが、断ります。自分で監督をすることは譲れなかったのです。

幾度もの買取依頼を断ったその脚本の権利を、ジムはゲイルにたった1ドルで譲ります。このシナリオを彼以外に監督させないという約束と引き換えに。またそれは、彼女への愛の証でもありました。

 

 

いつもジムの相談に乗り励ましていたゲイル。そして二人は、夢を叶えます。監督・脚本ジェームス、製作ゲイルの映画を制作しました。

その映画の撮影に入る1984年(30歳)、ジムは、ずっと彼を待ち続けていたシャロンと正式に離婚しました。

「僕が全て悪いから、償いはなんでもする」ジムはそう言いましたが、シャロンは断りました。彼女は形式的に1200ドルだけを受け取ったのです。「まだジムを愛しているから」

 

 

~他者愛と自己愛~

以上は、映画監督として活躍するジェームズキャメロンの人生の一節です。

シャロンを見ると、愛とは何かが見えてくるように思います。

愛とは相手の幸せを心から願う、祈る気持ちや応援でしょう。そこに見返りを求めることはありません。

ジムが夢を叶えたことを、シャロンは心から喜んだのではないでしょうか。

 

見返りを求めることはないと言いましたが、欲求があるとすれば、「幸せになった様子を見届けたい。妻という特等席で見て居たかった。」という感じかもしれません。

ただ、その欲求をエゴだとするのなら、それをなくしてこそ本当の愛だとするならば、愛することはなかなか難しく、また切なさも孕みます。

 

 

よく、親が子に向ける愛こそ本当の愛だ、というけれど、それは遺伝子を受け継ぐもの(自分の分身そのもの)だからではないかと思います。

自分の分身を愛すること、それは自分自身を愛することができて初めて成り立つもの、

そして、自分を愛せるからこそ、人に愛を捧ぐことができるのでしょう。

その愛を与える時には、「自分を犠牲に」なんて考えはきっと頭にないのでしょう。

 

 

~愛する痛み~

シャロンの状況から「木綿のハンカチーフ」を連想しました。

恋人を故郷に残し、上京した男性はやがて恋人から遠ざかっていきます。「都会の絵の具に染まらないで帰って」彼女が送った手紙の文も虚しく、僕は帰れないと、男性は手紙にしたためます。

この歌に、ジムとシャロンを重ね合わせてしまいます。

 

 

一方で、シャロンから離れたジェームズの愛について考えてみましょう。

彼女を愛していたのは間違いないはずです。では、その愛を忘れてしまったのでしょうか。

ジェームズ自身、大きな葛藤があったことは想像に難くありません。十代の頃から付き合っているシャロンをずっと待たせている状況で、新たな愛が芽生えてしまったのだから、彼もつらかったはずです。

きっと彼は、シャロンへの愛を貫くことができなくなった今、彼女の元へ戻ることを、不誠実だと思ったのではないでしょうか。

これまでと同じように彼女を愛せない状態で一緒に過ごしても、お互いに苦しむだけでしょうから。二人の女性を同じように愛することは出来ません。

シャロンにしてもそうなった場合、夫の心変わりに気づき、気遣いが生まれるでしょう。

 

 

~面影~

映画タイタニックをご覧になったことはありますか?

ジャックがローズのデッサンをしている場面があるのですが、ジムとシャロンの同棲時代の思い出がそのまま投影されています。映像にあるそのデッサンは、キャメロン自身の描いたものだそうです。

 

ターミネーター劇中のレストラン「ビッグボブズバンズ」は、シャロンの勤めていたレストラン「ビッグボーイ」がモデルです。

 

 

これらの場面をシャロンが観たら、何を思うのでしょう。彼女のその後を垣間見てみたい気もします。

 

 

~問いかけ~

ちなみに、ジェームズキャメロンはその後離婚と結婚を繰り返し、今は五人目になる妻と三人の子供と一緒に暮らしているようなので、愛と結婚とは結びつけられないものですね。

 

 

もしもあなたが、このような状況になったとき、愛はどんな形になるでしょうか。

シャロンのように、相手を想い続けられますか?

ジムのように、人を愛せますか?