愛にはぐれて人は死ぬ〜はるかな国から
世間が不況という文字を
消そうとしてる間に
合図を送れないまま
一人少年が死んだ
これは1995年に発表された、とある楽曲の一節です。
突然歌の一部を引用したのは、先日の報道にこの歌が思い出されたからです。
韓国にてトランスジェンダーに悩む兵士ピョンヒスさんが性転換手術の後、除隊させられ、その後自殺した事件です。
この楽曲は26年ほど前の作品ですが、今も相変わらず、痛ましい報道はなくなりません。
この「少年」やピョンヒスさんのように自殺までは考えないにしても、世間に揉まれ、疲れ果てて、ずっと眠っていたい…とか逃げ出したい気持ちになったことは、誰しもあると思います。
テレビやラジオや新聞は
涙を誘いかけては
大人の眼を持ち出して
罪の行方探してる
誰も行方探してる
昨今では「差別撲滅」などの議論が盛んな印象を受けますが、未だに状況は変わっていないのではないでしょうか。
罪の行方を探したり、悪者を作り出しても、解決にはつながらないことを物語っているかのようです。
愛という不透明な命の線の中を
しゃがみこむように消えた
少年のように消えてしまわないような道は、悪者を排除することではないのです。生きるのに必要なものはーー
夏にはシャツを脱ごう
冬は重ね着しよう
風邪をひくのはとても嫌いだな
暑さ・寒さのように、生きづらさのもとは周りに溢れています。けれどもそれを排除することは根本の解決にはならないでしょう。
例えば
夏の暑さ=周囲の批判的な視線。
冬の寒さ=棘のような言葉。
夏も冬も太陽があるから。
春の暖かさを待ち、
秋の月夜を願うだけでは生きられません。
夏の日差しはスイカを育み、
冬来りなば春遠からじ。
それぞれを認めて共に過ごすことが
風邪をひかない秘訣ではないでしょうか。
あんなに高い空へ歩くのは
とても大変だな/
あんなカードですべて賭けるのは
とても痛そうだな
世間に痛みをわかってもらおうと、最後の切り札として自殺をしたところで、何かを変える力は期待できないでしょう。
生きることは、自分を愛すること。